デスクトップ版の使い方(macOS・Windows)

MFRM Desktopは、作文や実技などの評定データを読み込み、対象者・評価者・課題などの違いを図と表で確認するアプリです。このページでは、初めて使う方に向けて、起動から結果の保存までを説明します。

デスクトップ版はRSM/PCM、JMLE/固定母集団SDのMML、バイアス分析、指定区間・共同交互作用、単変量G/D-Studyを備えています。初回の配布物にこれらをまとめて含めます。FACETSやConQuestのインストールは不要です。対応する設計と推論の条件は下の「分析を選ぶ」と各出力の注記で確認してください。

画面は英語で始まります。上部の言語欄で 日本語 に切り替えると、このページのボタン名に合わせて操作できます。入力した列名・水準名は翻訳しません。

English guide · 日本語の紹介ページ · 入手と起動 · サンプルで試す · 自分のCSVを使う · 保存する · 困ったとき

入手と起動

アプリZIPは GitHub公式Release(TOK0) から直接ダウンロードできます(Python同梱・追加インストール不要。GitHub自動生成の Source code (zip) や別の v0.2.19-beta Web版Releaseはデスクトップアプリではありません)。

試用版の対象は macOS(Apple Silicon / M1以降、同梱ライブラリ下限 macOS 14.0) および Windows 11 x64 です。Intel MacやWindows on ARMは対象外です。確認した環境と未確認の範囲はReleaseに記載しています。すべてのOS構成に対応を認定した安定版ではありません。

初回起動時に確認ダイアログが表示される理由と、3ステップの開き方

MFRM Desktopは無償の学術オープンソースソフトウェアとして公開しており、有償の Apple Developer Program 公証や商用 Windows コード署名証明書を付与していません。そのため初回起動時のみ 「“MFRM-Desktop” は開いていません(マルウェアが含まれていないことを検証できませんでした)」 や 「Windows によって PC が保護されました」 と表示されますが、悪質なコードが検出されたのではなく、商用署名が付与されていないことを示すOS標準の確認画面です。

  1. 全ソースコードの公開: 推定エンジンから画面表示まですべてのコードを GitHubリポジトリ で公開しています。
  2. 完全オフライン動作(外部送信ゼロ): CSV読込・推定・作図・.mfrm/.html/.csv 保存はすべてパソコン内で完結し、外部通信や情報送信は一切行いません。Wi-Fiを切った状態でもすべての分析・保存が動作することで確認できます(メニューから「Web版の理論・ヘルプ」を開く操作のみブラウザーを起動し、データは送信しません)。
  3. GitHub公式配布とビルド証明: 両OSとも GitHub Releases から直接配布され、公式SHA-256(Windows版はGitHub Actionsビルド証明付き)を確認できます。

macOS(Apple Silicon / M1以降)で起動する

  1. TOK0 をダウンロード し、Finderでダブルクリックして展開します。
  2. MFRM-Desktop.app 全体を書き込み可能な場所(Applications フォルダーなど)へ置きます。
  3. MFRM-Desktop.app を開き、Apple公式の案内に沿って初回のみ許可します(macOS Sequoia 15以降/Sonoma 14以降):
    • 「“MFRM-Desktop” は開いていません」 と表示されたら、青い「ゴミ箱に入れる」は押さず、下の「完了」をクリックします。
    • システム設定 → プライバシーとセキュリティ を開き、下の「セキュリティ」欄へスクロールします。
    • 「“MFRM-Desktop” はブロックされました」 の横にある 「このまま開く」 を押し、Touch IDまたはパスワードで許可します(初回のみ。2回目以降は通常通り開きます)。
    • ※ 所属機関の管理方針に従い、Gatekeeper全体の無効化や隔離属性(quarantine)の削除は絶対に行わないでください。破損警告が出る場合は強制起動せず原因を確認してください。

Windows 11(x64)で起動する

  1. TOK0 をダウンロード します。
  2. エクスプローラーでZIPを右クリックして すべて展開 を選び、MFRM-Desktop.exe と _internal を同じフォルダーに保持します(ZIP内から直接実行したり、EXEだけ移動したりしないでください)。
  3. MFRM-Desktop.exe をダブルクリックします。SmartScreen(「Windows によって PC が保護されました」)が表示された場合は、「詳細情報」→「実行」 を選択します(初回のみ。組織ポリシーで制限される場合は表示メッセージを記録してください。Windows Defender自体は絶対に無効化しないでください)。
任意確認:SHA-256 ハッシュ・GitHub ビルド証明の検証コマンド(機関管理者・希望者向け) [GitHub Release(`desktop-20261031`)](https://github.com/Ryuya-dot-com/MFRM_Python_Application/releases/tag/desktop-20261031) のAssets欄に自動表示される `sha256`(および `SHA256SUMS.txt`)と手元のZIPを照合できます: - **macOS ターミナル:** `shasum -a 256 "$HOME/Downloads/MFRM-Desktop-macOS-arm64.zip"` - **Windows PowerShell:** `Get-FileHash "$HOME\Downloads\MFRM-Desktop-Windows-x64.zip" -Algorithm SHA256` - **Windows ビルド証明検証(GitHub CLI):** `gh attestation verify "$HOME/Downloads/MFRM-Desktop-Windows-x64.zip" --repo Ryuya-dot-com/MFRM_Python_Application`

アプリZIPを持っていない場合は、インストール不要のWeb版から試せます。作文サンプルのガイドを参照してください。ソースコードから起動する場合だけ、開発者向け起動手順(英語)を使います。ブランチや版によって含まれる機能が異なります。

サンプルで試す

  1. 「データ」画面で サンプル を押します。作文の人工データが表示されます。
  2. 次へ を押します。
  3. 「設定」で、次の内容を確認します。サンプルを選ぶと、これらの値が設定されます。
項目サンプルの設定
対象者Person
得点Score
評価者・課題などRater、Task、Criterion
最低点・最高点0・5
  1. 分析 を押します。計算が終わると「結果」画面に切り替わります。
  2. 「図」の選択欄で Wright map、Pathway map、カテゴリー確率 を切り替えます。図の説明は 読み方 で開けます。
  3. 「表」の選択欄で推定値・得点などを選び、「データ概要」も確認します。
  4. プロジェクトを保存 を押し、練習用の名前で保存します。

Pathway mapでは、図の横にある選択欄で評価者・課題・観点などを切り替えられます。

自分のCSVを使う

データの形

1行を「1人に対する、1人の評価者による、1つの課題・観点の評定」にします。 同じ対象者に複数の評定がある場合は、行を分けます。

Person,Rater,Task,Criterion,Score
E01,R1,Task1,Content,4
E01,R1,Task1,Organization,3
E01,R2,Task1,Content,5
E02,R1,Task1,Content,2

上は形式を示す抜粋です。分析用のデータ一式には、作文の見本CSVを利用してください。アプリの CSV形式 → 見本CSVを保存 からも保存できます。

列の例入れる内容
Person受験者・学習者などのID。同じ人には同じIDを使います。
Rater評価者のID。
Task課題のID。
Criterion内容・構成などの評価観点。
Scoreその1回の評定の整数得点。平均点や合計点にはしません。

列名は日本語でも構いません。課題・観点の列は、実際の評価設計にあるものを用意します。

読み込みと設定

  1. CSVを開く でファイルを選び、先頭10行のプレビューで列と値を確認します。
  2. 次へ を押し、「対象者」と「得点」の列を選びます。
  3. 「評価者・課題など」で分析する列をクリックして選択します。複数選択できます。同じ列を対象者・得点と重ねて指定することはできません。
  4. 採点基準の「最低点」「最高点」を入力します。例えば基準が0〜5点なら、今回0点がなくても最低点は 0 です。
  5. 分析 を押します。対象外の行や重複について確認画面が出た場合は、行数と理由を確認してから続行します。

空欄・文字などの得点は計算対象から外れます。小数、無限大、採点基準の範囲外の得点は修正が必要です。この版では各評定を等しく扱い、重み列を追加しても重み付き分析にはなりません。

分析を選ぶ

「設定」の入口でMFRMまたはG/D-Study(画面表示は MFRM / G/D Study)を選びます。MFRMでは「列・採点基準」「モデル・推定」「バイアス・区間」「G/D計画」の各タブを使います。

目的設定と対象
共通のカテゴリー段階を使うRSM。JMLEまたは固定SD MMLを選びます。
相の水準ごとにカテゴリー段階を変えるPCM と段階を分ける相を選びます。JMLE/固定SD MMLに対応します。
固定母集団SDで周辺推定するMML。EMによる推定で、求積点数と固定SDを指定します。SD自体の推定ではありません。
特定の相の組合せを診断する「バイアス・区間」で相の対を追加します。固定較正の条件付き診断は、バイアスの有無や有意性を確定する検定ではありません。
水準または事前指定差の区間を見る固定SD MMLで「指定区間」を追加します。数値条件を満たす対象だけに点ごとの近似区間を表示し、保留理由を保持します。
主効果と交互作用を一緒に推定する「共同交互作用」で一つの相の対と対象セル・差を指定します。固定N(0,1)のRSM/PCMを別モデルとして再推定し、近似区間・Wald p値とHolm補正を表示します。補正は区間には適用しません。
評定者数・課題数による信頼性の変化を見るG/D-Studyで測定対象・得点・1~2ランダム相と計画水準数を指定します。完全均衡交差・各セル1観測・単位重みの範囲です。MFRMと別の入口でも、MFRMと同時でも実行できます。

G/D-Studyは単変量の元の観測得点を使い、相対評価のGと絶対評価のPhiを区別します。対象母集団は利用者が指定します。G/D-Studyの区間と多変量G理論は未実装です。指定区間や共同交互作用の数値条件を満たすことは、有限標本での被覆率保証ではありません。

バイアス・指定区間は、欄を入力しただけでは登録されません。追加を押し、一覧に表示された条件を確認してください。共同交互作用では、MML・固定SD 1 を選び、「次回の分析に追加」を有効にします。元の主効果モデルと固定較正の診断も保持されます。

G/D-Studyは各相に2水準以上が必要です。負の分散成分は元の符号付きの値を表に残し、係数の計算では0として扱います。指定区間・共同交互作用の近似推論は、独立な対象者、指定した応答モデル・正規母集団、無視可能な割当て・欠測、識別可能で境界上にないパラメーターなどを仮定します。適用範囲の詳しい説明(英語)も参照してください。

結果を読む

最初に「データ概要」で分析対象を確認し、画面に警告がないか確認します。

表示確認すること
Wright map対象者の測定値の分布と、評価者・課題などの位置。通常の設定では、上ほど評価者は厳しく、課題は難しくなります。
Pathway map縦軸の測定値と横軸の適合度。最初は Infit MnSq が表示されます。1からの隔たりだけで良否を決めず、評定数や元の評定も確認します。
カテゴリー確率どの得点カテゴリーが、どの範囲で選ばれやすいか。カテゴリーの使用頻度や採点基準と合わせて読みます。
推定値対象者・評価者・課題などの測定値と適合度。表の「注記」も確認します。
得点得点カテゴリーが実際に何回使われたか。

図の 読み方 と表の 注記 に、その出力の説明があります。点の位置や適合度だけから、評価の妥当性や差の有無を結論づけないでください。

一般MML表や個人得点の不確実性には、推論への利用制限があります。一方、専用の指定区間・共同交互作用は、各出力の条件に従って利用可否を判断します。全体の注意表示だけで、専用出力まで一括して利用不可とは解釈しないでください。図が表示されること自体も、推論が可能であることを意味しません。

保存する

目的操作・保存形式
後で分析を開き直すプロジェクトを保存 → .mfrm。入力データ、設定、結果を保存します。
図と表をまとめて読む・共有するレポートを保存 → .html。保存したファイルをブラウザーで開きます。
図を文書やスライドに使う表示したい図を選び、図を保存… → .png または .svg。
表を他のソフトで使う表を選んでCSV保存。出力の利用条件・注記も保持します。

図の「説明付き/論文掲載用」を切り替えられます。論文掲載用では全体タイトルと長い説明注を図外へ分離し、軸・凡例・水準名を保持します。「タイトル・図注」で文をコピーできます。PNG/SVGと一緒に保存する .caption.txt の内容を論文の図注へ反映してください。この切替だけで、APAや投稿先の全要件を満たすわけではありません。

保存した分析は、「データ」画面の プロジェクトを開く から .mfrm を選ぶと、再計算せずに開けます。HTMLや画像からは分析を復元できないので、続きの作業をする場合はプロジェクトも保存してください。

この試用版は以前の基本分析のプロジェクトも読み込めますが、この版で保存した拡張形式を旧アプリで開くことはできません。更新時は旧アプリと元のプロジェクトを残し、新しいアプリを別フォルダーへ展開して、プロジェクトのコピーを開いてください。同じバージョン表示でも試用版のビルドが異なる場合があるため、配布ZIP名も控えておきます。

WindowsのZIP版は .mfrm の標準アプリを自動登録しません。ダブルクリックでアプリの選択を求められた場合も、本体を先に起動して データ → プロジェクトを開く から選べます。

プロジェクトには入力データと対象者・評価者のIDも含まれます。共有する場合は、共有してよいデータか確認してください。

設定を変更しても、表示済みの結果は自動で再計算されません。「前回の分析」の表示がある場合は、設定を確認して 分析 を押し直します。残したい結果は先に別名で保存してください。

困ったとき

状況確認・対応
EXEが起動しないZIP全体を展開したか、_internal が同じ場所にあるか、Windowsがx64か確認します。保護機能で止まる場合はメッセージを記録します。
CSVを読み込めない・文字化けするExcelで「CSV UTF-8(コンマ区切り)」として保存し直します。1行目の列名が空欄・重複になっていないかも確認します。
「分析」を押しても設定画面にとどまる画面のメッセージに従い、列の指定、最低点・最高点、得点の値を確認します。
計算対象の行数が少ない得点や必要なIDの空欄など、分析前の確認画面で示された対象外の行を確認します。
入力・設計や数値条件が理由で区間を表示できない該当出力の理由を読みます。列の指定、共通の対象者による接続、極端得点、推定の終了状態など、指摘された条件を確認します。図の点や推定値だけから差・順位を確定しないでください。
方法の未対応・検証範囲が理由で推論を利用できない一般MML表、個人得点の不確実性、G/D-Studyの区間などの制限は、入力を変更したり同じ分析を再実行したりしても解消しません。利用可能な専用出力とその条件を確認します。
表のSE(標準誤差)などが空欄になっている表の「注記」と保留の表示を確認します。空欄を0や「誤差なし」と扱わないでください。
設定を変更しても図が変わらない表示中の結果は前回の分析です。新しい設定で「分析」を押し直します。
計算を止めたい計算中に表示される「中止」を押します。

解決しない不具合は、作成者 Ryuya Komuro(ryuya.komuro.c4@tohoku.ac.jp)まで、OS、ウィンドウのタイトルに表示されるバージョン、配布ZIP名、再現手順、エラーメッセージを添えてメールでお知らせください。画面やCSVを添える場合は、受験者・評価者の個人を特定できる情報や未匿名化の実データを含めないでください。

より詳しい理論は、アプリの ヘルプ → Web版の理論・ヘルプ からWeb版のHelp/Tutorialを参照できます。

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